【大久保登喜子の 今日も馬日和】〜Tokiko’s Horsy Journal〜 オリンピック馬術テストイベント 第2報

大久保登喜子 TOKIKO OKUBO

長年にわたって、「乗馬ライフ」「馬術情報」などの編集・制作に携わり、国内外の馬術競技会や、馬のイベント、選手、馬に携わる人たちを取材、交流を続けている国際馬術ジャーナリスト。著書に「ヨーロッパ夢の競馬場 ぜ〜んぶ馬の話」、翻訳書に「クラウス・フェルディナンドの触れ合い調教法 馬と踊ろう」、「ホースライディングマニュアル」などがある。

 

オーストラリアのアンドルー・ホイ、トップに出る

 

クロス終了時にトップのオーストラリア、アンドルー・ホイとブルーム号 ©Tokiko OKUBO
 

 8月13日は総合馬術テストイベントの2日目、海の森でクロスカントリーが行われた。午前10時のスタート時には気温は30度を超え、直前に雨がぱらついたのも手伝って湿度80%。高温多湿の日本の夏そのものだった。
 コースは3スターのショート級(CCI3*-S)で、来年の本番よりかなり易しい。距離3025メートル(本番は約2倍になる)、障害数は20個だが、コンビネーション障害を数えると、31飛越。規定タイムは5分30秒。選手は4分おきにスタートし、全部で16頭だから、ほぼ1時間で全選手が走行を終える。炎天と草いきれの中で、取材している側もこれ以上我慢できないというぐらい消耗する。
 昨12日の馬場馬術で1位の大岩に注目が集まったが、バートエルJRA号のスピードが落ち、規定タイムを14秒オーバー、減点5.6が加算された。
 馬場2位のオーストラリア、アンドルー・ホイ(60歳、五輪メダル団体金3個、個人銀1個)とブルーム号が減点0で走行し、大岩を押しやって1位に上がった。ホイはかつて大岩の師匠であった。
 馬場3位のドイツ、ミヒャエル・ユング(ロンドンとリオ五輪個人2連覇)とフィッシャーワイルドウエイブ号もタイムインして2位の座に。
3位には馬場で4位だった北島隆三とヴィックデュジゾールJRA号がクロス減点0でつけた。日本選手のトップである。
 13日の暑さを体験したことは、東京2020年の本番に向けての問題点を見つける良い指針になっただろう。クロスカントリーのスタートをもっと早く、午前6時ごろでもいいのではないか、という声も選手たちから上がっている。
 炎暑の中、それでもクロスカントリーを減点0で走行した馬が16頭中7頭いた。競技後半になると陽炎がゆらゆらして、人馬のシルエットが見えにくいほどになった。走り終えた馬たちは馬事公苑に運搬され、明日の最終日(障害馬術)を迎える。
 14日最終日の障害馬術競技開始は10時半、それに先立つ8時半からインスペクション(馬体検査)がある。

 

<馬場・クロス終了後の順位>
1位 アンドルー・ホイ(AUS)& ブルーム号27.70
2位 ミヒャエル・ユング(GER)&フィッシャーワイルドウエイブ号28.00
3位 北島隆三(JPN)& ヴィックJRA号28.20
4位 大岩義明 (JPN)& バートエルJRA号30.10
5位 戸本一真 (JPN)& タコマ号30.40
6位 ジョージー・スペンス(GBR)&ホールタウンハーレー号30.60
7位 田中利幸(JPN)&スワイパーJRA号32.30

 
 

日本選手のトップ、3位の北島隆三とヴィックデュジゾールJRA号 ©Tokiko OKUBO