【大久保登喜子の 今日も馬日和】〜Tokiko’s Horsy Journal〜 アーヘンCHIO 総合馬術

大久保登喜子 TOKIKO OKUBO

長年にわたって、「乗馬ライフ」「馬術情報」などの編集・制作に携わり、国内外の馬術競技会や、馬のイベント、選手、馬に携わる人たちを取材、交流を続けている国際馬術ジャーナリスト。著書に「ヨーロッパ夢の競馬場 ぜ〜んぶ馬の話」、翻訳書に「クラウス・フェルディナンドの触れ合い調教法 馬と踊ろう」、「ホースライディングマニュアル」などがある。

 

クロスカントリーは満員御礼 アーヘンCHIO 総合馬術

 

 アーヘンCHIO大会の総合馬術のレベルはCCIO4*-S。クロスカントリーの会場は巨大なスタジアム地域に隣接している。アップダウンのある田園地帯だ。アーヘン大会の長い歴史で、総合馬術を取り入れたのは2006年のWEG(世界馬術選手権大会)が初めての試みだった。現在ではアーヘンに欠かせない種目となり、観客数も満員御礼に達した。この会場を使って馬車のマラソン競技も行われる。

 

4スターのショートバージョンで

 CCIO4*-Sというのは、公式国際総合馬術大会の4スター、ショートバージョンの意味である。Sが付いているとショートで、Lが付いていればロング。今年度から星の数が一つずつ上がったので、昨年4*だったものが今年は5*になっている。
 ショート・バージョンのアーヘン大会では、初日に馬場馬術と障害馬術を行なってしまい、翌日がクロスカントリーでおしまい。3種目を3日間かけて行うからスリーデーと呼ばれたものが、ショートでは2日間でサクサクと進行する。
 4*-Sとはいえ、さすがアーヘンCHIOである。世界ランキングトップ10までの有名選手が轡を並べていた。日本からは戸本一真が出場予定だったが、第1インスペクションで乗馬のタコマ号が不合格となり、出走が叶わなかった。
 馬場馬術でトップに立ったのはドイツのイングリッド・クリムケとSAPヘイルボブ号、続いて2位にドイツのミヒャエル・ユングとフィッシャーチップマンク号、3位にイギリスのローラ・コレットとロンドン52号が来た。同日中に障害飛越もやってしまう。
 ドレッサージュと障害の2種目が済んだところでトップに立ったのはイギリスのローラ・コレット。2位にニュージーランドのティム・プライスとウェスコ号が上がってきた。クリムケは3位に後退し、ミヒャエル・ユングは4位。
 ハイライトはクロスカントリー。幸いな好天で、クロスカントリー日和である。障害は25だがダブル、トリプルのコンビネーションを数えると36個飛越しなければならない。丁寧に走行すると規定タイム6分55秒がつらくなる、テクニカルなコースである。
ダイナミックな水濠のロレックス・コンプレックスに観客が集まる。

 

アーヘンCCI4*-Sで優勝した地元ドイツのイングリッド・クリムケとヘイルボブオールド号 ©Tokiko OKUBO

  

イングリッド・クリムケ優勝

ドイツ選手が登場してくると、地元の観客は大喜びで空気がどよめく。今回はドイツのイングリッド・クリムケ1位、同じくドイツのミヒャエル・ユング2位と観客は沸きに沸いた。
クロスカントリーの終盤でつまずいたイギリスのコレットが後退し、オーストラリアのクリストファー・バートンがクロス減点0で浮上して3位に上った。
 現世界ランキング1位のニュージーランド、ティム・プライスは4位につけ、妻のジョネル・プライスは8位と上位につけている。優勝のイングリッド・クリムケがゲットした賞金は3万7千ユーロ(約450万円)、総合の賞金としては高額である。
 イングリッド・クリムケ(51歳)の父はかつて馬場馬術界で一世を風靡した故ドクター・ライナー・クリムケ。オリンピック金メダルを計6個、銅メダルを2個獲得して語り継がれている名選手。

(クロスカントリー終了:2019年7月20日)

 

アーヘンCCI4*-Sで2位のドイツ、ミヒャエル・ユングとフィッシャーチップマンク号 ©Tokiko OKUBO
  

<順位>
1位 イングリッド・クリムケ (GER) ヘイルボブオールド号24.7
2位 ミヒャエル・ユング(GER) フィッシャーチップマンク号25.5
3位 クリストファー・バートン(AUS) クオリティーパーデー号27.0
4位 ティム・プライス  (NZL) ウェスコ号28.6
5位 アンドルー・ホイ (AUS) ヴァシリドゥラソス号29.5

 

<団体成績>
1位ドイツ、2位ニュージーランド、3位オーストラリア、4位イギリス、5位フランス。

 

アーヘンCCI4*-Sで3位のオーストラリア、クリストファー・バートンとクオリティーパーデー号 ©Tokiko OKUBO
  

現総合馬術世界ランキング1位のニュージーランド選手、ティム・プライスとウェスコ号がアーヘンCCI4*-Sで4位 ©Tokiko OKUBO