【大久保登喜子の 今日も馬日和】〜Tokiko’s Horsy Journal〜 杉谷泰造、第1回アジア・チャンピオンに!!

大久保登喜子 TOKIKO OKUBO

長年にわたって、「乗馬ライフ」「馬術情報」などの編集・制作に携わり、国内外の馬術競技会や、馬のイベント、選手、馬に携わる人たちを取材、交流を続けている国際馬術ジャーナリスト。著書に「ヨーロッパ夢の競馬場 ぜ〜んぶ馬の話」、翻訳書に「クラウス・フェルディナンドの触れ合い調教法 馬と踊ろう」、「ホースライディングマニュアル」などがある。

 

杉谷泰造、第1回アジア・チャンピオンに!!

FEI Asian Championships Pattaya 2019

 

第1回アジアチャンピオンの杉谷泰造 ©FEI/Yong Tek Lim
 

 12月3日から8日まで、タイのパタヤでFEIアジア選手権大会が行われた。アジア選手権ってちょっと聞き慣れない名称だが、それもそのはず、今回が第1回目。
ヨーロッパ選手権大会などは歴史が古いが、実力を上げてきているアジアの選手のために新たにチャンピオンシップができた。その第1回のチャンピオンに輝いたのが、杉谷泰造(43歳)である。
障害、馬場、総合の3種目にそれぞれ団体、個人の出場枠があったが、日本からの参加は杉谷泰造とヒロインデミューズ号の1人馬だけ、そして個人チャンピオンになった。タイのパタヤからドイツの厩舎に戻ってきた杉谷泰造にインタビューした。

 

アジアの状況を知りたかった!

大久保(以下省略)——アジア選手権優勝おめでとうございます。いつ頃からこの選手権大会を目指したのですか。
杉谷「8月に、アジア選手権があると聞いて手を挙げて以来、ずっと1つに目標を絞って馬(ヒロインデミューズ号)を調整してきました。成功して嬉しいです。
 アジアの中では、馬術は日本が一番とは思っていますが、2018年のアジア大会では、障害だけが金メダルをはずして団体銀メダルでした。そこで、アジアの他の国々がどのぐらいレベルアップしているか、状況を知りたかったのです。実際、新しい国々、たとえばウズベキスタン、クゥエート、香港、フィリピンなどが力を伸ばしています。
僕はラッキーにも優勝しましたが、2位、3位は香港の選手。個人の上位6位までは僅差で接戦でした。アジアの選手たちもみんなヨーロッパで研修していますね」

 

ズシリと重い優勝トロフィーと杉谷泰造 ©FEI/Yong Tek Lim

  

5走行全てクリアラウンド

——5走行全てクリアラウンドという素晴らしい成績だったですね。試合のレベルはどうでしたか。
杉谷「ファイナルの最終ラウンドまで5走行あって、WEG(世界馬術選手権大会)やヨーロッパ選手権と変わりありません。1回目走行は140cmから始まってレベルは低いようですが、個人の最終ラウンドでは規定では150cmですが、実際155cmぐらいある大きなものでした」

 

金メダルを噛み締めて ©FEI/Yong Tek Lim
  

会場のポロクラブは素晴らしい

——会場はどんなところでしょう。タイのパタヤというと、首都のバンコックより南のリゾート地ですごく暑いような気がしますが。
杉谷「11月30日に現地入りしましたが、幸い涼しかったです。東京2020のオリンピックは真夏の蒸し暑い盛りですが、それよりはずっと過ごしよいでしょう。
会場のポロクラブは設備が整っていて素晴らしい環境です。主催はアジア馬連とタイ馬連。2年後に第2回アジア選手権が開かれる予定ですが、まだ会場は決まっていません。またパタヤの可能性もありますね」

——ご家族はご一緒でしたか?
杉谷「2人の息子、泰駕(5歳)と宏昌(2歳)はドイツの家で留守番でしたが、チームTS全員がきてくれ、日本からも応援がきて、5、6人は集まって賑やかだったです。金メダルを取って皆さんにお返しができました」

ヒロインデミューズ号のこと

——パートナーのヒロインデミューズ号のことを聞かせてください。
杉谷「僕の主戦馬で12歳のベルギー産BWPの牝馬、オーナーはアート引越しセンターで知られるアート・コーポレーションです。僕の地元大阪の企業で、良いご縁があってサポートしていただいています」

 

中央・金メダルの杉谷泰造、左・銀メダルのケネス・チェン(香港)、右・銅メダルのリーナ・レング(香港) ©FEI/Yong Tek Lim
  

スポーツに専念し、地道に努力を続けるだけ

——東京2020への思いを聞かせてください。これまでに五輪出場連続6回という記録を打ち立てていますが、出場できれば五輪出場7回目のスゴイことですね。
杉谷「スポーツに専念して結果を出すだけです。地道に努力していきます」
——2020年にむけて、これからのスケジュールはどうなっていますか。1月にはFEI世界ランキングも上がることでしょうね。
杉谷「多分、正月は日本で過ごせるでしょう。2月からスペインのサンシャインツアーに出かけ、冬を通じて競技を続けます」
——健闘を祈ります。

 

最終障害をクリア! 杉谷泰造とヒロインデミューズ号 ©FEI/Yong Tek Lim
  

 FEI Asian Championships Pattaya 2019の会場全景  ©FEI/Yong Tek Lim