【大久保登喜子の 今日も馬日和】〜Tokiko’s Horsy Jurnal〜 ローマCSIO大会

大久保登喜子 TOKIKO OKUBO

長年にわたって、「乗馬ライフ」「馬術情報」などの編集・制作に携わり、国内外の馬術競技会や、馬のイベント、選手、馬に携わる人たちを取材、交流を続けている国際馬術ジャーナリスト。著書に「ヨーロッパ夢の競馬場 ぜ〜んぶ馬の話」、翻訳書に「クラウス・フェルディナンドの触れ合い調教法 馬と踊ろう」、「ホースライディングマニュアル」などがある。

 

ローマCSIO大会 5月26日(日) ロレックス・グランプリ

優勝は驚きのイスラエル、ダニエル・ブルマンとラドリアーノZ号

 

 ローマCSIOの最終日、いよいよロレックス・グランプリの2回走行です。ローマ・グランプリの第1回は1926年、すなわち第二次世界大戦よりずっと前から始まっています。
この日のローマは昨日までとうって変わり朝から曇天、試合開始とともに土砂降りになりました。気温も下がり、テントの特別席にはストーブが焚かれましたが、一般観客は雨の中、傘をさしての観戦です。前の人が傘をさせば後ろの人はもちろん見えない。難しい状況です。緑の自然の中で行われる屋内競技は素晴らしいけれど、こういう時は困りますねえ。

 

優勝のダニエル・ブルマンとラドリアーノZ号、副賞のロレックスウォッチが素晴らしい ©Tokiko OKUBO
 

 2障害馬術最難関のCSI5*競技会なので、コースは巨大で回転が多く、ネーションズカップの時よりずっとテクニカルです。44名がスタートして2回目走行に残れるのは25%、すなわち上位11名だけ。
1回目走行ではベルギーのオリビエ・フィリッパエルツは出番1番でクリアラウンド、アイルランドのシアン・オコンナー、イスラエルのダニエル・ブルマン、イタリアのルカ・マルチアニの4名がノーミスを決め、アメリカのジェシカ・スプリングスティーンがタイムオーバーの減点1で5位と続いています。ジェシカはアメリカのロックミュージシャン、ブルース・スプリングスティーンの娘です。
アメリカは今年のワールドカップ決勝で15位入賞のスティーブ・ジョブスの娘イブ・ジョブスやビル・ゲイツの娘ジェニファー・ゲイツなど超有名人のお嬢様ライダーが活躍しています。


2回目走行でのダニエル・ブルマンとラドリアーノZ号 ©Tokiko OKUBO
 

 2回目走行ではスプリングスティーンが障害を大きく壊してリタイア、戦列から外れました。イスラエルは最近シドニーオリンピック・チャンピオン、オランダのヨルン・ダブルダムにコーチを依頼し、東京2020へ向け馬術に力を注いでいます。これまでの国際競技会ではあまりイスラエル選手の名前が目に止まらなかったのに、ローマでは団体で頑張っています。

2回目走行では減点4のアイルランド、ダラー・ケニーが37.86秒の最短タイムを出しましたが、最後から2番目にスタートしたダニエル・ブルマンが(0/0 39.47)で、2走行ノーミスのまま、優勝を決めました。アイルランドのシアン・オコンナー(0/0 40.64)は2位。3位ベルギーのオリビエ・フィリッパエルツ(0/0 41.73)。2走行クリアラウンドしたのはこの3名だけ。
 優勝のダニエル・ブルマン(29歳)は南米のコロンビア生まれで、10歳の時、両親とともにアメリカのフロリダに移住。馬術は幼い頃からやっているけれど、ずっとコロンビア選手として活動し、2016年にイスラエルに国籍を変えて競技会に出場するようになった人物です。
「こんな大きな大会に優勝したのは初めて。ラドリアーノZ号は世界1の馬だからやってくれるとは思ったけれど、とにかく嬉しい」(記者会見でのダニエル・ブルマン)
 ロレックス・グランプリの優勝賞金は10万ユーロ(約1250万円)。賞金総額は40万ユーロです。
 表彰式が始まるころ、やっと雨が上がりました。


コース下見中のダニエル・ドイサー(左)とヘンリック・フォン・エッカーマン(右)、ヨーロッパ最強の2人はグランプリの本命とみられていたが ©Tokiko OKUBO
 

【順位】
1位ダニエル・ブルマン(ISR)& ラドリアーノZ号  0/0 39.47 10万ユーロ
2位シアン・オコンナー(IRL)& イレニスホータ号   0/0 40.64 8万ユーロ
3位オリビエ・フィリッパエルツ(BEL)& H&Mエクストラ号 0/0 41.73 6万ユーロ
4位ダラー・ケニー(IRL)& バルーデレヴェントン号 4/0 37.86 4万ユーロ
5位ギーラ・マーチネング(ITA)&エルザス号  4/0 39.23 2万8千ユーロ
 (ISR=イスラエル、IRL=アイルランド、ITA=イタリア)


表彰式に白馬の儀仗隊が登場。カラフルなところがイタリアらしい ©Tokiko OKUBO
 

取材中の筆者