【大久保登喜子の 今日も馬日和】〜Tokiko’s Horsy Jurnal〜 ワールドカップ・ファイナル、障害・馬場とも本命が優勝!

大久保登喜子 TOKIKO OKUBO

長年にわたって、「乗馬ライフ」「馬術情報」などの編集・制作に携わり、国内外の馬術競技会や、馬のイベント、選手、馬に携わる人たちを取材、交流を続けている国際馬術ジャーナリスト。著書に「ヨーロッパ夢の競馬場 ぜ〜んぶ馬の話」、翻訳書に「クラウス・フェルディナンドの触れ合い調教法 馬と踊ろう」、「ホースライディングマニュアル」などがある。

 

ワールドカップ・ファイナル・イエーテボリ大会

 

障害:スティーブ・ゲルダ&アラモ号

馬場:イザベル・ベルト&ワイエゴールド号

 

 ワールドカップのファイナルがスウェーデンのイエーテボリで4月3日から7日まで開催されました。障害馬術とドレッサージュの2種目のファイナルです。
結論から言うと、2種目とも本命が優勝したのですが、チャンピオン=世界一になるのは凄いことです。障害馬術の方は日本にも1名の出場枠があって、今年は広田思乃さんが出場しました。2018年には全日本に優勝し、ワールドカップ・ポイントも最高点で、絶好調のうちにスウェーデンまで遠征したのですが、現地でも好調が続き、ファイナル1から始まって、ファイナル3まである試合のファイナル3のAラウンドまで出場でき、24位で終了です。決勝のBラウンドは上位20名が出場できます。
日本は、ワールドカップの出場権が取れても毎年出場する訳ではなく、2年続けてもったいなくも棄権でした。2016年には小池啓補選手が遠征し、ファイナル2で30位、ファイナル3への出場権はあったけれど馬の体調を考えて出場を諦め、ファイナル2まででした。これまでの日本人最高位は2000年の杉谷泰造選手の15位です。
広田選手が、慣れない国際舞台で最後まで好調を続けられたのは、素晴らしいことです。
それに、ご主人の広田龍馬さんとともに人懐こい人柄でヨーロッパの舞台、観客に溶け込みました。


障害馬術ワールドカップ・ファイナルの表彰台で。中央・優勝のスティーブ・ゲルダ、左・2位のマーチン・フックス、右・3位のペダー・フレデリクソン  ©Liz Gregg/FEI
 

障害馬術

4月4日のファイナル1はスピード&ハンディネス。世界ランキングナンバー1のスティーブ・ゲルダとアラモ号が初日を制しました。この日広田選手は33名中32位。
スティーブ・ゲルダは世界ランキング1位で本命中の本命ですが、初日からトップに立ってしまうと、プレッシャーもあるし、最終戦までツキを保つのは大変です。それにアラモ号は大きな試合経験がありません。
ところが、スティーブ・ゲルダは精神力と集中力を最終日まで保ち続け、優勝。ワールドカップ3回目の優勝です。(2015年ラスベガス、2016年イエーテボリ、そして3回目もここイエーテボリ)。
スティーブ・ゲルダは36歳のスイス、ジュラ州出身のライダー、ロンドンオリンピックの金メダリストです。飛越スタイルが抜群に美しく、シャープな美貌の持ち主。細い体で一見ナーバスそうに見えるのに精神力がスゴイ。ちなみにファイナル1で2位だったベルギーのピーター・デボスはファイナル2では失権です。
スティーブ・ゲルダ&アラモ号はファイナル2では1落下して13位に後退です。ファイナル2の勝者はスウェーデンのペダー・フレデリクソンです。ファイナル2を終えた時点での初日のポイントと合わせたランキングでは、スティーブ・ゲルダは3位。1位にスペインのアルファレス・アスナールが上がり、4位に昨年のチャンピオン、アメリカのビージー・メイデンが迫っています。
そして、いよいよ4月7日のファイナル3は2回走行です。
スティーブ・ゲルダとアラモ号は2走行ともクリアラウンド。2走行クリアラウンドしたのはドイツのダニエル・ドイサーとトバゴZ号、スイスのマーチン・フックスとクルーニー号の3人馬だけ。ダニエル・ドイサーは今、ヨーロッパでいちばん勝ち続けているライダーだし、マーチン・フックスはスティーブの弟分のような存在ながら、トライオンWEGで銀メダルを獲得しています。スペインのアスナールは第1走行で2落下して表彰台から遠のいてしまい、3位に地元スウェーデンのペダー・フレデリクソンがきて観客が湧きました。もうひとりのスウェーデンの強者、ヘンリック・フォン・エッカーマンとマリールー号は20位です。

【順位】
1位 スティーブ・ゲルダ  (SUI)&アラモ号
2位 マーチン・フックス  (SUI)&クルーニー号
3位 ペダー・フレデリクソン(SWE)&キャッチミーノット号
24位 広田思乃 & ライフ・イズ・ビューティフル号

ドレッサージュ・ワールドカップ・ファイナル表彰後のウィニングラン。中央・優勝のイザベル・ベルト、右・2位のローラ・グレイブス、左・3位のヘレン・ランゲハーネンベルク  ©Christophe Taniere/FEI
 

馬場馬術

 馬場馬術の世界ランキングは向こう1年間の人馬の組み合わせで決まります。ドイツのイザベル・ベルトはワイエゴールド号で1位、ベラローズ号で3位、エミリオ号で4位と圧倒的に上位を独占している状態が続いています。その間隙の2位に食い込んでいるのがアメリカのローラ・グレイブスとバーデダス号。今年のワールドカップ決勝戦には18名が出場しましたが、ハイライトはイザベル(49歳)とローラ(31歳)の一騎打ち。ローラは満を持してこの日を待っていたはずです。
グランプリでは1位イザベル・ベルト、2位ローラ・グレイブス、3位ダニエル・バックマン・アンデルセン(デンマーク)の順。
4月6日のファイナル、グランプリ自由演技は7名のジャッジがつける点差もほんのわずかです。観客は息をつめて見守りました。スウェーデンでは馬術は女子のいちばん人気のスポーツで、観客のドレッサージュ演技に対する審査の眼も確かなものです。もしかしたらイザベルが女王の座を明け渡すことになるかもしれない……。
しかし、イザベルは強かった。結果はイザベル・ベルトが1.692%の差で金メダル。ワールドカップ3連覇、通算5個目の金メダルをゲットしました。3位にドイツのヘレン・ランゲハーネンベルクとダムジー号。地元スウェーデンのパトリック・キッテルは6位。

【順位】
1位 イザベル・ベルト (GER) &ワイエゴールド号    88.871%
2位 ローラ・グレイブス     (USA)&バーデダス号      87.179%
3位 ヘレン・ランゲハーネンベルク(GER)&ダムジー号       86.571%

(国の略字は SUI=スイス、SWE=スウェーデン、GER=ドイツ、USA=アメリカ)
来年のワールドカップ・ファイナルはアメリカのラスベガスで行われます。


ワールドカップ・ファイナル24位の広田思乃とライフ・イズ・ビューティフル号  ©FEI